コドモ以上、オトナ未満。
京香さんと別れて校舎に近付いて行くと、あたしのクラスにはまだ電気が点いていた。
あたしがバッグを置いたままできちゃったから、もしかしたら恩田先生辺りが心配して待ってくれているのかもしれない。
そうだったら悪いと思って、早足で向かった教室。
ガラッと勢いよく扉を開けたら、そこには床に胡坐をかいて座る一人の姿があったけど……それは先生ではなかった。
「真咲……なんで」
「おかえり。遅かったけど、なんかあったの?」
一人で壁画に色を付ける続きをしていたらしい真咲が、立ち上がってこちらに近付く。
「……うん。ペンキ、探すの時間かかって……あと」
言わなくちゃ。
ちゃんと向き合うって決めたもん。
素直になるって、決めたもん――。
「京香さんに会って……全部、聞いたの。あの日のこと」
真咲は一瞬目を大きく見開いて、それからふっと苦笑して言う。
「そっか……でも、もういいよ。俺が中途半端なことしたのは確かだし」
「よくない! だって悪いのはあたしじゃん……! 真咲の話、全然聞こうとしなかったあたしが……!」
「……ココ」
思わず真咲に詰め寄って、彼のブレザーの襟をぎゅっとつかんでしまったあたし。
真咲はあたしの両手にそっと触れて自分の身体から離すと、穏やかな笑みを浮かべた。
「ココは悪くない。でも、もうそんなのどっちでもいいんだ、ホント」