コドモ以上、オトナ未満。
「……そこまで言ってくれて、うれしいよ。やっぱり俺、ココを好きになったことに後悔はない。だから、なおさら……」
ふわりと頭の上に下りてきた手が、あたしの髪をゆっくり撫でた。
……そんな風にされると、泣きそうになるじゃん。
やめてよ……どうせ、遠くに行っちゃうくせに。
トモダチに戻るのに、そんな優しく……
「最後にキレイな思い出作って、この学校去りたいんだ。ココと一緒に、学祭成功させて」
顔を上げると、あたしを包み込むようなあたたかい眼差しとぶつかり、胸に熱いものがこみ上げてくる。
ここで、あたしが、泣いたら……
真咲はきっと、ここからいなくなっても、そのこと思い出して胸を痛めてしまう。
あたしとのこと、キレイな思い出じゃなってしまう。
あたしも、真咲を好きになったことに後悔はない。
だったら、彼の言うとおり……
「……わかった、戻る。ふつうの、友達に」
まだ、好きだけど。
真咲がいなくなっちゃうのも、本当はいやだけど。
それを言っちゃったら、自分たちがつらくなるだけ……
そういう意味なんだよね、真咲。
涙を堪えてきっぱり言ったあたしの頬に、真咲の手のひらが一度触れる。
でもそれはほんの一瞬でスッと離れて行き、彼は気を取り直したように言った。
「……帰ろ。送ってく」