コドモ以上、オトナ未満。


久しぶりに、二人で歩いた帰り道。

真咲はすぐ隣にいるのに、距離を感じてしまう……

会話もとぎれとぎれの、気まずい時間だった。


……普通の友達ってヤツも、結構難しいな。

そんなことを考えながら、辿りついた家の前。


「……ありがと。送ってくれて」

「いや、男として当然のことをしたまで」

「……じゃあ、また」

「ん。明日、学校で」


くるりとあたしに背を向けて、遠ざかっていく真咲の背中。

呼び止めたいのをぐっと堪えて、あたしは彼が見えなくなるまで見送った。

真咲は、一度も振り返らなかった。


仲直り……は、できた。

でも、全然あたしの気持ちはスッキリしてない。

このまま、“普通の友達”として学祭まで過ごしたら、本当に、キレイな思い出だけが残るのかな……?

わからないけど、もうそうするしかないんだ。

真咲が、そうしたいって言うんだもん。

あたしが自分のワガママで動いて、上手くいったためしなんてないし……


「普通の友達……がんばるしかない、よね」


頑張ってその距離に慣れて、サヨナラの日には笑って真咲を送り出せるように。

あたし自身が、ツラくならないためにも……

それが一番いいんだよね、きっと――。


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