コドモ以上、オトナ未満。
6
見えないメッセージ
学祭を一週間後に控えたころ。
真咲の転校のことが、恩田先生の口からみんなに伝えられた。
急なことだし当然クラス中は驚き、あたしの方を見て何か言っている人たちもいた。
あたしは素知らぬ顔でその視線を受け流していたけど、休み時間になって廊下に出るとすぐにカナコに捕まった。
「ココちゃん……知ってたの? 真咲くんのこと」
「うん……いちおうね。本人から聞いて」
「本人から……そっか。仲直りしたんだもんね。でも、そしたら余計つらいよね……?」
心配そうなカナコに、あたしは曖昧な笑みでこう返す。
「……仲直りは、したけど。あたしたち、もうそういう関係じゃないから」
「え……? だって、最近二人が元通り話してるから、私はてっきり」
「まあ、話くらいはね。でも、前みたいにベタベタしてないでしょ?」
「あ……それは確かに」
友達に戻ったんだ。ふつーの。クラスメイトに。
あたしがそう言うと、カナコは何度か瞬きをしてから、表情を険しくした。
「どうして……?」
「……付き合ったままでお別れなんて、つらいからって」
「そんな……」
まるで自分のことのように、寂しげな顔をしたカナコ。
そういう反応をすると思ったから、今まであえて話していなかったんだ。
第三者にそんな顔されると、あたしも自分がすごく可哀想なヤツに思えてきちゃうから。