コドモ以上、オトナ未満。
最初こそちょっとぎこちなく会話をしていた俺とココだったけど……
一度は付き合っていた者同士だから、打ち解けるのはあっという間で。
「……どしたの、ココ」
「や……あたし、こういうの、苦手なんだってば」
「学祭レベルのお化け屋敷なんだから、大したことないって」
完全に嫌がってるココを無理矢理連れて入った教室は、思ってた以上に真っ暗。
「……は、早くでよ」
「ええ? ゆっくりいこーよ、ほらあそこ、なんかいる」
「いや、ほんとダメ。無理無理無理」
目をつぶってるから自分の意思では歩けなくて、ずっと俺の腕にしがみついていたココが可愛かったりとか。
「……あれ、食べたい」
「あれ? たこ焼き?」
「違う、その隣の……」
見た目にも性格にも似合わない、ふわふわのわたあめを欲しがる姿も新鮮だったし。
つーか自分で欲しいって言ったくせに途中で飽きちゃったりもして。
「……半分あげる」
「え。……好きだから買ったんじゃないの?」
「……思ってたより甘かった」
「ばかだなー」
むくれるココをなだめながら半分にちぎったわたあめ。
それを食べて手がベタベタになるのすら、なんか楽しく感じられた。