コドモ以上、オトナ未満。
ココは……ずっと。ずっと思っていたんだ。
俺と手を繋いでいる間も。
お化けにビビってる時も。
わたあめ半分こしてる時も。
真咲がいてくれてよかったと、真面目な顔で口にしたあの時も。ずっと。
それに気づかない俺って、バカじゃないのか……?
いや……無意識のうちに、気づかない振りをしていたのかもしれない。
ココにそう言われてしまったら、決意が揺らぐから。
友達に戻るなんてこと、言い出しっぺのくせに、全然できそうにないのは、本当は俺の方だって、自覚させられるから。
「……ココ、どこだ?」
辿りついた体育館は、実行委員やこれから後夜祭で出し物をやる生徒たちでごった返していた。
歌ったり踊ったり、バンド演奏の練習を始めているグループもあって、大声で名前を呼んでも気づいてもらえそうにない。
でも、ここへ来るまでにココの携帯を鳴らしてみたけど、特に反応はなかったから、自力で探すしか方法はない。
きょろきょろと辺りを見回しては場所を移動する、そんな繰り返しをして十分くらい経った頃――
ズボンのポケットで携帯が振動した。
もしかして、ココ……?
期待を胸にスッとスマホを取り出したけど、そこに表示された文字は“母”。
まさか、もう迎えに来てるのか……?
「……もしもし」
『ああ心矢。学園祭は無事に終わった? もう校門の前まで来ているから、用がないなら早く出て来なさい』