コドモ以上、オトナ未満。


――ココちゃんの初恋について教えて!

「初恋……ですか。私、かなりそういうことに目覚めるのが遅くて、初恋は高校二年生のときでした。短い間でしたけどお付き合いもできたのですが、彼、転校してしまって……」


――じゃあ、苦い初恋だったんですね。

「そうですね。でも、別れるときに彼が“待ってて”って言ってくれたんです。ここまでモデルのお仕事を頑張って来れたのも、その約束にすごい支えられていたからだと思います。彼がホントに迎えに来るかどうかはわかりませんけど、もしかしたら私、初恋継続中なのかも」


――この本を見てくれている、恋する女子たちに一言お願いします。

「恋って楽しいことばかりじゃないし、いやな自分が見えたりするから、私もあんまり得意な方じゃないんだけど……たとえ片想いでも、大切に想う人がいるのって、素敵なことだと思います。その気持ち、大事にしてほしいな」





これを読むまで、不安でいたのはむしろ俺の方だった。

ココはあのとき“待ってる”と言ってくれたけど、こんなに長い間迎えに行くことができなかったし、華やかな世界で仕事をするココに言い寄るやつだって少なくないだろう。

“カレシ”ができていても、おかしくないよな……心のどこかで、そう思っていたから。

でも、初恋継続中――なんてフレーズを目にしたら、そんな弱気な自分はどこかへ消えていった。

……俺はいつもそう。

傷つきたくないからって諦めんの早くて、いちずなココを悲しませてばかり。

もしかしたら、今回の発言は、そんな俺に向けてのメッセージだったのかもしれない。

自分は待ってるから、早く迎えに来いよって。


俺も、その気持ちにちゃんと応えたい。

ココに言わせてばっかりじゃ、男としてダメすぎるだろ。

迎えに行くって約束も、ココのことも、この八年のあいだ一日も忘れたことはない。

その想いをちゃんと伝えるんだ――。


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