コドモ以上、オトナ未満。


「なん―――」


あまりの驚きでそれ以上口をきけなくなり、あたしは口をパクパクするだけ。

来るなんて、聞いてない……!

なんで今なの?

会うならもっとちゃんとしたところで……!


「……お友達?」


気まずさを取り繕うように、お母さんがあたしに聞く。

あたしは一度軽く頷き、そのあとうーんと首をひねってから訂正した。


「さっき言った……“いろんな人”の中で、あたしのこと、いちばん支えてくれた人……かな」


その紹介に、握手会の最後の参加者――真咲は満足そうに頷いていた。

そしてお母さんは、寂しそうな微笑を浮かべると、あたしをまっすぐに見つめて言った。


「……ごめんね、なんて。今さら言われても困ると思うけど……湖々が元気そうで安心したのは本当よ。それから、もう会いに来るなんてバカなこと考えるのはやめるわね。じゃ、私はこれで……」


そう言うと、足早にあたしたちの前から去っていくお母さん。

その背中を見ていたら、あたしは何か大事なことを間違えているような気がして、急に不安になった。

あたしたち、今は、別々に生きてるけど……

お母さんがあたしのお母さんであることに変わりはないし、あたしは、お母さんのおかげで――――



「待って!」



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