コドモ以上、オトナ未満。
これからも、ずっと
「……へえ。ココちゃんのお母さんが」
「うん……あたしもびっくりした。お母さんにはお母さんの生活があるけど、あたしのことも忘れてなかったってわかっただけで、嬉しかった」
控室に戻ったあたしは、まず大森にお母さんのことを報告した。
最初はあたしの泣き顔にびっくりしていた彼も、事情を話すとティッシュ箱を差し出しながら、一緒に微笑んでくれた。
「それはよかった……んだけどさ」
ちら、とあたしから視線をずらした大森がにらむのは、あたしの後ろにいる真咲だ。
「……そろそろ、ソイツのことツッコんでいい?」
ああ……そりゃ、気になるよね。
「賢人、ひさしぶりー」
わざとらしくフレンドリーに言って、真咲は大森に手を振る。
真咲がここにいる理由は、スタッフの中に彼がモデルをしていたことを覚えている人がいて、あたしや大森と同級生だと知ると、この部屋に入るのを快く許可してくれたからだ。
「おー、久しぶり。相変わらずスカしたツラしてムカつくったらねぇなお前は。しかも医者になったとか、そのエリート街道まっしぐらなとことも気に食わな――――じゃなくて!」
目の前の長机をバシンと手で叩いて、大森がパイプ椅子から立ち上がった。
「……相変わらず長げぇノリツッコミだな」
あたしの思っていたことと全く同じことを真咲がぼそっと言うので、思わずとクスッ笑ってしまう。