コドモ以上、オトナ未満。

ひとりになりたい



翌日、あたしは教室に行くのが憂鬱だった。

昨日真咲と連れ立って帰っていくのを、クラスの何人かに見られていたからだ。

でも……教室の扉を抜け自分の席に向かう途中、いつもは感じる無数の針みたいな視線は、今日は全くと言っていいほどなかった。


……なんか、おかしくない?

そりゃ何もない方がいいに決まってるけど、いきなりなくなるのは不自然っていうか……


その理由は、遅刻ギリギリに教室に入ってきた真咲の足元を見ればすぐにわかった。

ペタペタと、間の抜けた音を出す、学校名の書かれた茶色のスリッパ。


「……真咲。それ」

「あー、えっとね。上履き、なかったから仕方なく」

「なかった……?」


あたしが言うと、出所はわからないけどクラスのあちこちからくすくす笑う声が聞こえた。



「……誰よ」



自分のことなら、ここまで腹は立たない。

でも、あたしとちょっと親しそうにしたからって、真咲にまでこんなことするなんて、たちが悪すぎる。


「誰よ! 真咲の上履き隠したヤツ!」

「……ココ、いいって」

「でも……!」


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