コドモ以上、オトナ未満。
「だから、もう付き合いきれなくなってきたっつーか。どーせ離婚間近だし、俺は俺で好きなことしようって、思ったんだ」
「……真咲んちの親、離婚するの?」
「たぶんね。俺の勘だけど」
「そっか……」
そりゃ、家に帰りたくもなくなるよね……
うちの両親も、離婚する前は言い争いが絶えなくて、あたしは自分の部屋で頭から布団をかぶって、二人の声のボリュームがおさまるのをじっと待ってた。
「……ひとり暮らしとか、してみたくない?」
真咲の方を向いて、そう問いかける。
あたしはずっと憧れてた。誰にも干渉されない、自分だけのお城があればなって。
「あー、わかる。そんな金もないし、自炊もできないけど、とにかく一人になりたい」
「だよね。でも自炊か……あたしもできないや」
諦めたようにそうこぼしつつ、でもやっぱり憧れる。
きっと、あたしたちが思うより、ひとり暮らしって甘い世界じゃないんだろうけど。
あたしも真咲も、もし実現したら何をやりたいって、お昼休みの時間が許す限り、ばかみたいにずっと話してた。