コドモ以上、オトナ未満。
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女友達第一号
どんな嫌がらせをされても、痛くもかゆくもありません――
っていう対応をするのが得意な真咲のおかげなのか、あたしたちに変なことをする奴らは次第に減ってきていた。
七月に入ると試験前っていうのも味方して、みんなあたしたちに構ってる暇もなくなったみたい。
だからといって教室という場所の居心地があまりよくないのは変わらない。
だけど、わざとトゲトゲした態度を取る必要もなくなり、あたしはただの無口で孤立した女子的な位置に落ち着きつつあった。
そんな、ある日の休み時間。
「……岩崎、さん」
移動教室のために立ち上がった私に、一人のクラスメイトが声を掛けてきた。
分厚いメガネと三つ編みのせいなのか、クラス委員長なわけでもないのに「イインチョ」と呼ばれている、おとなしめの女子だ。
確か、名前は……青島加奈子(あおしまかなこ)だっけ。
「……なに?」
「あ、あのね。壁画のこと……もう、何描くか、決まったかなって」
なんか、びくびくしてるように見えるけど。
あたし、そんなに怖いのかな?
「まだだけど」
「そうなんだ! よかった! あのね、恥ずかしいんだけど、コレ……」
かさかさと、折りたたまれていた紙を開いて見せてきた青島さん。
いきなり何を?と思ったら、そこにはとてもキレイな絵が描いてあった。