コドモ以上、オトナ未満。
「これ……青島さんが描いたの?」
紙いっぱいに広がるオレンジのグラデーションは、きっと夕陽に染まる空。
それから、横一列に並ぶたくさんの人の影。
野球のバットを持っていたり、ギターケースを抱えていたり。
自転車に乗っている人もいれば、手を繋いでいる人もいる。
頭の後ろで手を組んで、ぼんやりと夕陽のオレンジを見つめる背の高い影は……なんとなく、真咲っぽい。
「うん。あ、あの、コレ使ってほしいってわけじゃないんだけど、ひとつの案として……」
「ちょっと、これ借りるね。……真咲!」
教室を出て行こうとしていた背中に向かって声を掛け、振り向いた真咲に青島さんの紙をすぐさま見せた。
前に、真咲が言ってた
“青春っぽいの”――それに、ぴったりなんじゃないかと思って。
「……いいじゃん、コレ」
「でしょ? 青島さんが描いたんだって」
「ほー。すげぇ」
あたしの席の側にいる彼女に真咲が視線を向けると、彼女はさらにオドオドした感じになってうつむいてしまった。
……あー、もしかして、そういうこと。
あたしが“真咲っぽい”と感じた絵の中の影は、きっと本当に真咲なんだ。
真咲は青島さんのトクベツ。
だから、壁画のことに協力してくれるわけね。