コドモ以上、オトナ未満。
そのままカナコと並んで他愛のない話をしていたら、誰かに後ろからぽんぽんと肩を叩かれた。
振り返った先には、長身の男子が二人。
あたしの肩を叩いたのは今まさに噂していた真咲だったけど、もう一人は、知らない人。
彼の制服は、たぶん近くの公立高の……
「おおー! この子が噂のココちゃん」
「……そ。ひと目見たんだからもういいだろ」
「つまんねぇこと言うなって。俺のこと紹介してよ」
身長は二人とも同じくらい。
けれど黒髪の真咲とは対照的な、金に近い茶髪の男子がそう言って真咲の頭を小突いた。
……っていうか誰?
あたしはカナコと顔を見合わせ、ふたりで首を傾げる。
「めんどくせーな。たぶんココはお前みたいのキライだぞ」
「はいはい。そういう牽制はいいから早く」
「……あー、ココ、急にゴメン。コイツ、モデル仲間の大森賢人(おおもりけんと)っていうんだけど。ココの話したら会いたい会いたいってうるさくて」
迷惑そうな表情で、真咲が大森賢人を指さす。
ああ……モデル仲間。
だから背が高いんだ。
……ていうか、あたしの話をしたってどんな?
自分の知らないところで他人の会話に登場するっていうのは、あまり気持ちのいいものじゃないけど。
真顔を崩さないあたしに対し、大森賢人は「ちぃーっす」とか言いながら人懐っこく笑ってる。
できれば関わり合いたくない人種だなと思いながらも、あたしは小さく頭を下げた。