コドモ以上、オトナ未満。
ソウルメイト
「……意外だったな。ココが賢人の頼み聞いてあげるなんてさ」
駅でカナコと別れ、これから仕事だと言う大森も去っていき。
夏の太陽であたたまったアスファルトから蒸し暑さが立ちのぼってくる夕方の帰り道を、真咲と並んで歩く。
あたしの右手は、自然と真咲の左手に握られていた。
「……そう?」
「うん」
……それもそうか。
あたしだって、最初はやる気なかったもん。
でも、ふと思ったんだ。それって、やったらお金がもらえるのかなって。
それを大森に聞いたら、「もちろん」と答えが返ってきたから……
「あたし……自分で、お金稼いでみたかったんだよね」
それならアルバイトすればって感じだけど、前にお父さんにそれはダメだと言われてしまったから、諦めていたんだ。
夜遅くなるのは心配だし、お小遣いなら足りてるだろうって。
でも、今回の仕事なら、一度きりだしお父さんも許してくれるんじゃないかと思う。
「そっか……でも、それなら俺が先にココに頼んどけばよかったな」
「え?」
「賢人が言ってた企画、撮影は夏休み中だから、俺もやるんだ。でも、まさかココがやるなんて思わないから、彼女役は顔なじみのモデルの子にお願いしちゃった」
「……ふうん」