コドモ以上、オトナ未満。
……きっと、そっちの子の方がキレイだろうし、それでいいんじゃない?
あたしだって、いつも一緒にいる真咲とじゃない方が、逆にやりやすい気がするし。
気のない返事をするあたしに対して、真咲は「あ」と何かを思い出したように言う。
「くれぐれも賢人には気を付けて。アイツ、一緒に仕事した女の子すぐ食っちゃうので有名だから」
「あー、見るからにそんな感じだったね……」
でも、こっちが毅然とした態度取ってれば平気でしょ。
ああいう人って、自分に興味のない子は好きじゃないだろうし。……っていうか。
「……なんで真咲がそんなこと心配すんの」
「え。そりゃ友達だし……いや、ココはそれ以上かも。なんていうか、こう……」
友達以上……のあとに続く言葉は、普通なら“恋人未満”。
でも、真咲の口から出るのはそれじゃないんだろうなと、なんとなくわかった。
「同士っつーのかな。ソウルメイト、的な」
「……うん。ちょっと、わかる」
人間、誰でも何かが欠けているものなんだろうけど。
その“欠けた部分”が、あたしたちきっとよく似てる。
心にあいた空洞を、どうやって埋めたらいいのかわからないから、一緒にいる。
……恋人でもないのに寄り添い、手をつないで。