コドモ以上、オトナ未満。

好きな人は誰?



「ココちゃん、あのね」


それは一学期の終業式が終わり、気持ちはすでに夏休みのクラス中ががやがやとうるさい教室でのこと。

スクバを持って帰ろうとしていたあたしに、カナコが真剣な顔で言った。


「私……真咲くんに告白する!」

「……え?」


なになになに。急にどうしたの?

いや、急でもないか。

カナコはもともと、真咲のこと特別な目で見てたんだっけ。


……よく考えたら、あたしカナコにひどいことしてたじゃん。

うっかりしてた。真咲と手を繋ぐとか、今度からもうしないようにしなくちゃ。


そんなことを考えて黙っているあたしに、カナコは恥ずかしそうにうつむいて言う。


「私なんかが彼女になるのは無理だってわかってるんだけどね……一度言わなきゃ、前に進めないような気がして」

「……私“なんかが”ってことはないでしょ。アイツはちゃんと人のこと見てるよ。カナコがいい子だってのも、きっとわかってる」


ただ……真咲にたぶん好きな人がいるっていうのは、今言っといたほうがいいんだろうか。

いやでも、告白するってこんなに意気込んでるカナコに言えないよ。

知ってて黙ってるあたしはひどい友達なのかな。

……今まであまり友達いた経験がないから分からない。


「ココちゃん、ありがとう」

「……お礼とかいいからさ。早くしないと真咲帰っちゃうよ?」


あたしは言いながら、教室を出て行こうとしているネイビーのメッセンジャーバッグを指さす。


「う、うん!」


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