コドモ以上、オトナ未満。
ぱたぱたと真咲の元へ駆けて行ったカナコは、頬を赤く染めて真咲に一生懸命なにかを伝えていた。
すると真咲が人差し指を上に向けて口を開き、カナコがそれにうなずく。
……たぶん、屋上に誘ったんだ。
あーあ、優等生のカナコを立ち入り禁止の場所に誘うなんて、悪い奴。
あそこはあたしたちだけの場所じゃなかったの?
「……って。別に、いいじゃん。カナコなら」
誰にも聞こえないくらいの声で、ぼそりと呟く。
お互いに、共通の友達なんだし。
少しだけ苛立ちを感じた気がしたのは、何かの勘違いだよね。
二人が教室を出て行くのを見送ってから、イヤホンを耳に差して、あたしも廊下に出て行く。
もしも二人がうまくいったら、二人ともあたしとは関わらなくなるのかな。
きっと、そうだよね。二人だけでいた方が楽しいんだろうし。
そこまで考えるとぴたりと足を止め、バッグに手を入れるとスマホで流していた音楽を止めた。
なんか、音楽聴いてても気が紛れない……むしろ、今は耳障り。
あたしはなんでか全く気分のノらない自分に諦めをつけ、再び廊下を歩き出した。