コドモ以上、オトナ未満。
「――ココちゃん! 久しぶりね」
「……こんにちは」
この間来たときは夕方だったから、こんな昼間に来てもいいものかと思いつつ、足がこのお店に向いてしまった。
閉まっていれば帰ろうと思ったけど、どうやら昼間から京香さんはいるらしい。
「座って座って。何か冷たい飲み物作ってあげるから」
カウンターの中で飲み物を用意してくれる京香さんは、夏だっていうのに少しも汗をかいてないように見える。
それはお店の冷房のせいもあるだろうけど、京香さんは涼しげに見せるのがうまいんだろうなとも思う。
あたしとは違って、オトナの女性だから。
「はい、どうぞ」
そんな彼女が出してくれたのは、大きなレモンのスライスが入った見た目にも爽やかな飲み物。
こくりと一口飲むと、ほどよい酸味と弾ける炭酸がのどを通った。
「で、どうしたの? 心矢くんと喧嘩でもした?」
「――げほっ! 別に、そういうわけじゃないですけど……」
……なに動揺してむせてんの、あたし。
京香さんがくれた紙ナプキンで口元を押さえながら、自分にツッコむ。