コドモ以上、オトナ未満。


一限のあとの休み時間を使って、あたしと真咲は職員室に乗り込んだ。

担任に、実行委員の件の文句を言うためだ。


「――実行委員を他の人にしてくれ、ですか?」


あたしたちが何も言わないうちから、くるりと椅子を回転させてこちらを向いた担任の恩田先生は、そう言ってにっこりと笑った。

……その笑顔で全部丸め込もうって魂胆?


先生たちの間では若い方に入る三十代なかばの歳で、顔もそこそこ良くて、国語の教え方がうまくて、いつも中庭の花壇の手入れをしていて……

そんな彼に落ちる女子が多いのも確かだけど、あたしはそうはいきません。


「そうです。本人たちが休んでいるときに多数決を取って勝手に決めるなんて、あんまりじゃないですか!」


職員室にいる他の先生方がこっちを向くほどの大声が出てしまい、後ろから“まあまあ”という感じで真咲があたしの肩に手を置く。

けれど恩田先生は全く動じずに、のんびりとこう言った。


「多数決ではありませんよ?」

「え……?」

「僕の独断と偏見で決めました。きみたちに実行委員をやってほしかったから」


先生の、独断と偏見……って。

一体、どういうこと?


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