コドモ以上、オトナ未満。
「……なんで断ったの?」
真咲の左手は無視して、先を歩きながら聞いてみる。
「え……だって、他に好きな人いるし」
やっぱり……予想どおりだ。
「京香さんでしょ」
言い当ててやった、って顔をして振り返ったあたしに、真咲はきょとんと目を丸くした。
ほら、なんでわかったのって言いたいんでしょ。
そりゃ、アンタの顔見てれば一発で――――
「違うけど」
「……え?」
思わず足を止めたあたしのもとまで、真咲が大股で歩いてくる。
そして口を開けたままぽかんとするあたしの手を取って、今度こそぎゅっと握った。
「……そりゃ京香さんは初恋の人だし、今でもキレイだと思うし、人としては好きだけど。今好きなのは、別のコ」
真咲の好きになりそうな人……一生懸命考えてみるけど、思いつかない。
ってことは、もしかして仕事で一緒になるモデルの子とかなのかも。
それなら名前聞いてもしょーがないけど……
「……誰?」
「わかんない?……カナコちゃんはすぐわかったみたいだけど」
カナコが?
じゃあ、クラスの誰かとか……
でも、真咲は女子とも男子とも広く浅くって付き合いしかしてないように見えるから、ホントにわかんないんだけど。