コドモ以上、オトナ未満。
「げ」
渡された服をよくよく見てみると、普段地味な色を好んで着るあたしが絶対選ばないような、パステルピンクのワンピース。
これ、本当に着るの……?
一瞬逃げたくなったけど、この仕事を引き受けることに決めたのはあたし自身。
今さら尻尾巻くなんて、なんかくやしい。
「――あ。来た、ココちゃん。おお~いいねやっぱ」
ワゴンの外にいた大森がそう言うのと同時に、彼の隣にいた黒髪の男子もあたしの方を振り返った。
タイトめな白シャツに、シンプルな黒いパンツを合わせただけなのにものすごくサマになってるその男子は、終業式の日以来、久しぶりに会う真咲。
そういえば、真咲も同じ企画やるって言ってたもんね……にしても。
「似合ってないのは自分でもわかってるけど。絶句することないでしょ」
呆気にとられたようにぽかんとあたしを見つめるだけで、なぜか何も言ってくれない真咲を、あたしはそう言って睨む。
「……や、そーじゃなくて。その」
ぼそぼそと言いながらあたしから目を逸らし、ふい~っと遠くに視線を移す真咲。
そしてもう一度、ちら、とあたしを見ると、大きな手で顔を覆ってこう言った。
「……可愛すぎるっつの」