コドモ以上、オトナ未満。


「……アンタが真剣なこと、周りはちゃんと見てるよ。大森ならきっと、いつか真咲のこと抜ける」


あたしはモデル業界のことはよくわかんないし、まだ撮影が始まって間もないけど……

大森が周りに気を遣ったり、スタッフさんに感謝して仕事をしているのはよく伝わった。

だから思ったことを言っただけなのに、大森は驚いたように目を丸くしていた。


「……何」

「いや……まさかココちゃんにかばってもらえるとは思ってなかったから。つかココちゃんって、心矢のこと好きなんじゃないの?」

「……は?」


どこをどう見たら、そういうことになるわけ?


「いや、違うんなら全然いいんだけど。むしろそっちのがありがたいし」

「……違います。そりゃ、気の合うところがあるから学校では一緒にいること多いけど」

「なーんだ、そっかぁ」


急にニコニコし出した大森が、再び真咲たちの方を見る。

あたしも自然とそっちを向くと、真咲とモデルの女の子がまるで本物の恋人同士みたいに見えて、ドキッとした。

二人が手に持っているのは、ジェラートか何か。それをお互いに食べさせあっている光景は、見てるこっちが恥ずかしくなる。


お似合いって、ああいうことを言うんだろうな……

あたしといるときには見せない、オトナっぽい真咲の姿が、なんか眩しい。


「ココちゃん」


ふいに隣の大森に呼ばれて、あたしは彼を見上げる。



< 49 / 211 >

この作品をシェア

pagetop