コドモ以上、オトナ未満。
「……アンタが真剣なこと、周りはちゃんと見てるよ。大森ならきっと、いつか真咲のこと抜ける」
あたしはモデル業界のことはよくわかんないし、まだ撮影が始まって間もないけど……
大森が周りに気を遣ったり、スタッフさんに感謝して仕事をしているのはよく伝わった。
だから思ったことを言っただけなのに、大森は驚いたように目を丸くしていた。
「……何」
「いや……まさかココちゃんにかばってもらえるとは思ってなかったから。つかココちゃんって、心矢のこと好きなんじゃないの?」
「……は?」
どこをどう見たら、そういうことになるわけ?
「いや、違うんなら全然いいんだけど。むしろそっちのがありがたいし」
「……違います。そりゃ、気の合うところがあるから学校では一緒にいること多いけど」
「なーんだ、そっかぁ」
急にニコニコし出した大森が、再び真咲たちの方を見る。
あたしも自然とそっちを向くと、真咲とモデルの女の子がまるで本物の恋人同士みたいに見えて、ドキッとした。
二人が手に持っているのは、ジェラートか何か。それをお互いに食べさせあっている光景は、見てるこっちが恥ずかしくなる。
お似合いって、ああいうことを言うんだろうな……
あたしといるときには見せない、オトナっぽい真咲の姿が、なんか眩しい。
「ココちゃん」
ふいに隣の大森に呼ばれて、あたしは彼を見上げる。