コドモ以上、オトナ未満。
「まず、岩崎さん。きみがクラスで孤立している今の状態を、なんとかしたいというのがひとつ」
「余計なお世話――――っ」
「それから真咲くん。きみが仕事に誇りを持っていることはわかります。でも、もう少し学校生活も謳歌して欲しいなと思うんです。
この学校で何かひとつでも大切な思い出を作ることは、きっと仕事の面でもプラスになる」
「先生……」
恩田先生の意見を跳ねのけようとしたあたしとは違って、真咲はなんだか神妙な顔をしていた。
まさか、やるなんて言いださないよね……?
あたしの視線に気づいた真咲は、ふっと微笑んでその答えを言った。
「岩崎さん、一緒にやろ」
……なんでそうなるの。
あたしは思わずぷいっと顔を背けた。
「あたしはいや」
「えー? でも俺、ほかに女子の友達いないし」
……あたしたち友達だっけ?
まぁ、そんな疑問は置いといて、見逃せない事実がひとつ。
「真咲は学校よく休むからラクかもしれないけど、そのぶんあたしが色々仕事やらなきゃいけなくなるでしょ!」
「ああ……それなら、平気」
そう言った真咲は先生の方に向き直ると、急にまじめな顔つきと声で話し出した。
「俺……ちょっと仕事減らそうと思ってたところだったんです。今の仕事、本当に自分がやりたいことなのかなって、悩んでて」