コドモ以上、オトナ未満。
「俺らは俺ららしく。アイツらに負けないデート見せようぜ」
なっ!と強めに背中を叩かれると、不思議と元気が出てきた。
……コイツ、本当はいい奴なのかもしれない。
あたしや真咲とは全然種類の違う……むしろ対極にいるような明るさを持ってる大森は、空の上で輝く太陽みたい。
髪もきらきらしてるし。
「……だね。ねえ、中戻ろっか。あたし、今なら笑えそうな気がする」
「おっ。いこいこ! ココちゃんがその気になってるうちに!」
一度スイッチが入ってしまえば、撮影は一気に楽しいものに変わった。
合間に見せてもらうポラに写る自分はまるで別人みたいだったけど、すごく自然に笑えていたし。
やっぱり真咲たちには及ばないけれど、あたしと大森だって、本物のカップルに見えないこともなかった。
「俺さー。今まで自分につけられてるキャッチフレーズ、キライだったんだけど」
カメラマンさんの指示にさえ従っていれば、あたしたちが話す会話の内容は自由だ。
フルーツたっぷりの可愛いタルトを食べながら雑談をしているっていうシーンを撮っている最中、大森がなんとなしに、そんな話題を振ってきた。
「キャッチフレーズ?」
「そ。だってさぁ、“カラフルやんちゃ王子”だぜ? ちょっとバカっぽいじゃん」
「……そうかな?」
「ちなみに心矢は“モノトーンの貴公子”で、その扱いの差にもいちいちムカついてたんだけどさー」