コドモ以上、オトナ未満。
「あのね……あたし、今まで真咲には本当に――」
たくさん助けてもらって感謝してるし、アンタの隣にいるときの空気感が好きだし、これからだって、色んな話をしたい。
そう言いたいのに、言葉は喉に詰まってしまってなかなか声にならない。
そんなあたしを真咲は優しい目で見つめると、一度大きな手をあたしの頭に乗せようとしてから、けれどその手はポケットにしまってこう言った。
「……いいよ、ココ。俺、別にカレシとかじゃないんだから言い訳とかしなくて」
いいわけ……
確かにあたし、なんでこんなに真咲を必死でつなぎとめようとしてるんだろ。
真咲の言う通り……カレシ、でもないのに。
そう思うと、喉まで出かかっていた言葉は波が引くように心の中に戻っていって、あたしはただ、こう言うしかなかった。
「……そう、だよね。何か変だね。あたしが誰と付き合おうと、真咲には関係ないのに」
「うん。……関係、ないね」
「……いいよ。同じこと繰り返さなくて」
「ゴメン」
……なにこの会話。
やっぱりあたしたち、同じとこが欠けた月と月だ。
二つ並んだって、寂しいことに変わりない。
だったらやっぱりあたし、きらきら眩しい太陽のところへ行くよ――――。