コドモ以上、オトナ未満。
にらむようなあたしの視線に最初はきょとんとしていた大森だったけど、すぐにその意味に気づいたらしい彼はぷっと吹き出してから言う。
「ココちゃん、警戒しすぎ。俺ってそんな軽い男に見える?」
「……見える」
「ははっ。正直すぎ!」
なんだ、自覚あるんじゃん。
でも、そんな風に笑ってるってことは、別にそこまで警戒しなくても平気かな……?
ひとしきり笑った大森は、頭をぽりぽりとかきながら言う。
「……まぁ、軽いって言われても仕方ない経歴あるのは確かだけど。それはマジになれる相手がいなかったからっつー感じかな」
それからあたしの方を見て、ニッと笑った。
「でも、そーいうのは、もうやめる。本気でココちゃんに惚れちゃったからね」
ちょっと……そんな、ストレートに言わないでくれないかな。
あたしは何て返したらいいの?
口を開こうとしても、言葉が一つも思い浮かばない。
「ココちゃん、照れてる?」
「……べ、別に」
慌てて否定したあたしにふっと笑みを洩らした大森は、おもむろに手を伸ばしてあたしの手を取る。
そして、お互いの指どうしをするりと絡ませると、その手をしっかり握って歩き出した。
……大きさは、真咲と同じくらい。
でも、触れた部分から伝わる温度は、大森の方がずっと熱いみたい。