コドモ以上、オトナ未満。
……心矢。って、真咲?
まあ、別に二人は仕事仲間なわけだし、メールにしろLINEにしろ、やりとりしてても不思議はない。……けど。
さっき、真咲とはぎこちない別れ方をしてしまったから、気にならないといえば嘘になる。
それでも無関心を装って、あたしも自分の飲み物を取ろうとしたとき――
「ココちゃん、ちょっとこっちきて」
「え? ……ちょっ、なに!」
突然肩を抱き寄せられて、気が付けば真横に大森の顔。
なんなの、いきなり?
予告もなしに接近されるのは、あんまりいい気持ちじゃない――そう文句を言おうとした瞬間のこと。
ちゅ、と右頬に何か柔らかいものが触れた。
そして、ほぼ同時に耳に入ってきたのは、カメラのシャッター音。
「……おし! あ、このココちゃんいいね。ふいをつかれちゃったって感じが」
大森は、スマホを手に一人で納得している。
何が起きたの……?
まさか、今の感触って……
「ほら、よく撮れてる」
ずい、とスマホの画面を見せてきた大森。
そこには、あたしの頬にキスしている大森と、状況がわからずにぽかんとする、あたしの間抜けな顔が写っていた。