コドモ以上、オトナ未満。
……悩んでる?
自分がやりたいからやってるってわけじゃなかったのかな、モデルの仕事。
「……そうでしたか。おおいに悩んでいいと思います。これから少しずつ学校生活に本腰を入れてみれば、見えてくるものが変わるかもしれませんし」
「はい。なんで、実行委員もやってみます」
「……岩崎さんはどうしますか?」
……来ると思った。
真咲の背中に隠れるようにしていたあたしは、彼の隣に並んで腰に手を当てながら言う。
「やりますよ……どうせ何言っても先生が言いくるめるつもりなんでしょ?」
「よくわかってますね」
にこっと微笑んだ恩田先生。
……全く、この担任には敵わない。
でも、恩田先生は間違ったことはしないだろうというのだけは、なんとなくわかるのだ。
オトナなんて、自分勝手な生き物――――普段はそう思っているんだけど。
「では、実行委員の件はそれでお願いします。そうだ、あともうひとつ」
次の授業の準備のため、教科書や古語辞典を持って立ち上がった先生が言う。
その顔は、さっきと違って少し怒ってるみたいだった。
「……きみたち、さっき数学の授業をさぼりましたね?
今日中に先生の所へ謝りに行くこと、それからもう二度と授業をさぼらないこと。いいですね?」