コドモ以上、オトナ未満。
「……な、なんでこんな写真!」
「んー? ……虫よけ」
答えながら、スマホを操作する大森。
虫よけ……ってなに?
「……意味わかんないんだけど」
「ゴメンね、急に。でも正々堂々向かってこないヤツには、こういう手段使って威嚇してもいいだろうと思ってさ」
……ますます意味不明。
“正々堂々向かってこないヤツ”――って、誰のこと?
怪訝な表情をするあたしに気づいているはずなのに、大森は「ところで」と言いながら立ち上がってしまう。
「俺、腹減ってきた。なんか食いにいこーよ」
あまりに無邪気な笑顔で言うから、腑に落ちないものはあったけどそれ以上問いただすこともできなくて。
「……いいけど」
あたしは仕方なく、大森の誘いに乗ることにした。
どうせ今日もお父さんは遅いから、晩ごはんは一人で食べることになってただろうし……
実はあたしも少し、お腹がすいてきてた。
そうしてカラオケを出ると大森は再びあたしの手を握り、夜の迫った街へとあたしを連れ出した。