コドモ以上、オトナ未満。
捨て猫とココ -side 心矢-
ココと賢人……
あの二人がなんでいきなりそういうことになってるのか、俺には全く理解できない。
ココの気持ちを動かすには、もっと時間がかかるものだと思ってた。
だから、今日までゆっくり努力して、友達としてでもココの一番近くに入れる権利を得られたことが、俺としては結構な進展だったのに。
……でも、そうやって自分の気持ち抑えてモタモタしてた俺が悪い、のかな。
「……あー、わかんね」
本当はココと一緒に来るつもりだった京香さんの店。
俺は二人と別れた後でそこに一人で入りびたり、さっきからこうやって自問自答しては袋小路に迷い込み、ジュースのやけ飲みをしていた。
……当たり前だけど、全然酔えない。
「京香さん……酒だしてよ」
「あのねぇ。未成年者にお酒を提供して怒られるのはこっちなの。そういう迷惑発言するならもう帰って?
さっきから黙って聞いてたけど、心矢くんがハッキリしないのが悪いんでしょ?」
いつものように、カウンターの中でグラスを拭く彼女がそんな冷たいことを言う。
……そりゃそうだけど。
俺がハッキリできないのは、京香さんとのことも原因だよ?
「……いきなり“男”出した俺のことひっぱたいたの、京香さんじゃん」
中三の頃だったかな。
その日も京香さんは俺に勉強を教えに来た。
でも、何度告白しても軽くかわされ、何事もなかったかのように至近距離で参考書を覗きこんでくる京香さんに、俺のイラ立ちは最高潮に達していた。