コドモ以上、オトナ未満。
京香さんの店を出ると、俺はこれから始まる長い夜のことを考えて、憂鬱になった。
ただでさえ居心地の悪い家なのに、今日はココと賢人のことで、気分は最悪。
今ごろ、二人はどうしてるだろう。
送られてきた写メは、明るさとか背景的にカラオケっぽかったけど――――
「……くそ」
最悪の考えが頭をよぎりそうになり、慌てて首を横に振った。
ココと賢人を引き合わせたのは、他でもない自分。
もしも時間を戻せるなら、あのときの自分を殴ってでも、賢人をココに会わせたりしないのに。
そんなやりきれなさから、歩道に落ちていた小石を蹴って、俺はうつむきがちに家路についた。
しばらく歩いて、自分の家がある住宅街に入ったところで、電柱のそばに段ボール箱が置いてあるのが目に留まった。
その箱には、“拾ってください”の文字。
近付いて中をのぞいてみると、小さな黒猫が一匹、丸まって眠っていた。
「……ゴメンな。うち、猫ギライの人いるから飼ってやれないんだ」
抱き上げたいのを我慢して、俺はそう呟き段ボールから離れた。
そして思い出したのは、ココと初めて会った日のこと――。