コドモ以上、オトナ未満。
彼女はなぜかクラスで孤立していて、けれど泣くでもなく、学校を休むでもなく、ただ受け流すように、毎日を過ごしていた。
俺は暇さえあればその横顔を見つめ、授業中も休み時間も、ぼんやりどこかを見ている視線の先に、何があるのかを探ろうとした。
そして気がつけば、恋に落ちていた。
あんなに京香さんに執着してたのが嘘みたいに、気づけばいつもココのことばっかり考えていて……
だから、実行委員の件は、恩田先生に礼を言いたいくらいだ。
そのことがきっかけでココと近づくチャンスを得られたわけだし、実際かなり親しい仲になることもできた。
ココがぼんやり見つめていたもの……その正体は、今でもさっぱりわからないままだけど。
賢人のように、ごく自然に、自分に好意を示してくれる相手でも探してたのかな。
ココ、ああ見えて寂しがり屋だしな……
だとしたら、それまで一番近くにいたのに選ばれなかった俺って、完全にココの眼中にないってことだ。
彼女にとっての俺はたぶん、ただの“似た者同士”
一緒にいて楽ではあるけど、ドキドキしたりしない存在。
つまり、この恋はまるっきり俺の一方通行。
……どこで道を間違えたんだろうな。
俺はもう、ココの隣にいちゃいけないんだろうか――。