コドモ以上、オトナ未満。
「……えー?」
せっかく真咲に屋上のいい場所教えてもらったのに。
しかも、謝るってなに?
不満顔のあたしとは対照的に、真咲はまたも従順な姿勢でこう言った。
「わかりました。今日中に行ってきます」
「ちょっと! あたしは謝るなんていや!」
「いーじゃん。ココだって一人で行くよりは二人のがましでしょ?」
そりゃそうだけど……って、ん?
……ココ?
「……なんで急に名前呼び?」
「岩崎さんって長いから。俺もシンでいいし」
「……やめてよ」
お互いクラスで浮いてるっていう事実は同じでも、あたしと真咲とではその中身は全然違うのだ。
あたしはとげとげしい女王蜂。
真咲は……手の届かない異国の王子ってとこだろうか。
とにかく必要以上に親しい雰囲気を出された場合、クラスの奴らはまた面白がる。
そして、悪口を言われるのはきっと、あたしの方だけ。
“女王蜂が色目使ってる――”的な。
考えただけで……うざ。
「では真咲くん、岩崎さんを説得するのはきみにお任せしました。そろそろ次の授業が始まりますので、きみたちも早く教室へ行った方がいいですよ」
「はーい。いこ? ココ」
「……ん。でもココはやめて」
納得しない部分はたくさんあったけど、これ以上のお説教も避けたいところ。
曖昧に返事をしたあたしは、真咲と一緒に職員室をあとにした。