コドモ以上、オトナ未満。
そこまで思い返すと、あたしの胸にズキンと痛みが走った。
本当なら懐かしく感じるはずの、幼い日の記憶なのに……
今では思い出したくないものとして、心の奥底にしまいこんでた。
「ココちゃん、都合悪そう……?」
黙ってうつむいてしまったあたしに不安になったのか、カナコが表情を窺うように聞いてくる。
ぱっと顔を上げたあたしは、首を横に振って言った。
「ううん、なにもないよ。行こっか、花火」
そろそろ、新しい思い出を作った方がいいのかもしれない。
カナコなら、きっとあたしの苦い思い出を、楽しいものに塗り替えてくれる。
「やったぁ。じゃあ、勉強はこのくらいにして、その日の予定立てよっか!」
カナコがぱちんと手を叩くと、図書室を利用していた他の生徒たちに、ぎろりと睨まれた。
あわてて身を小さくするカナコがおかしくてふふっと笑うと、あたしたちは場所を教室へと変えて、週末の予定を立て始めた。