コドモ以上、オトナ未満。
打ち明けられた想い
花火大会当日の、午後四時。
あたしはなぜか、カナコの自宅の和室にいた。
「……ねえ、やっぱりいいって」
「ダメ! せっかくなんだから、二人で浴衣着て歩こ?」
「ちょ、ちょっと、カナコどこ触ってんの!」
「動かないで! 全部脱がないと着せられないでしょ」
……なんでこんなことに。
あたしはカナコの意外な強引さに押され、渋々自分で服を脱ぎ始めた。
花火は夜からなのに、どうしてこんな早い時間に待ち合わせるんだろうと思ってたら、その時すでに浴衣に身を包んでいたカナコが、家から出てくるなり言い出したんだ。
『ココちゃんも浴衣着よう? お姉ちゃんの貸してあげるから!』
あたしはずっと断ってたんだけど、しまいにはカナコそっくりの優しそうなお母さんまで出てきて
『うちの子はもう着ないから、浴衣がかわいそうだったの。是非着てあげて?』
……なんて言うものだから、いやですなんて言えなくて。
「……できた。苦しくない?」
「うん……へーき。じゃあ行く?」
「まーだ! 髪の毛も可愛くするんだから!」
そう言うと、カナコは部屋の隅の鏡台の前へとあたしを座らせた。
今日のカナコはなんだかいつもと違うな……
そう思いつつも、諦めモードに入ったあたしは、大人しくカナコに髪をセットしてもらうことにした。