コドモ以上、オトナ未満。


「ココちゃんの方が似合うよー! 大人っぽいっていうか……色っぽい?」

「……背がデカいだけだよ。あとは、カナコのやってくれた髪型のおかげかな」

「そんなことない。ふふ、こんな可愛いココちゃん見たらびっくりするだろうなー」


カナコが嬉しそうにそんなことを言うので、あたしは首を傾げた。


「びっくりするって……誰が?」

「あ! ……えと、すれ違う人みんなが!」


……何を言ってるんだこの子。そんなわけなけないじゃん。

まあいっか。このカッコ、確かに気分が盛り上がるから、意外に自分でも気に入ってるし。


乗り込んだバスにはあたしたちと同じような浴衣姿の乗客がたくさんいて、ものすごい熱気が充満していたけど、その非日常な雰囲気に、なんだかわくわくした。

普段は基本、人ごみとかキライなんだけど……

久しぶりの花火。それに、隣にはカナコがいてくれるからかも。


目的のバス停で、人の波に押し流されそうになりながらもなんとかカナコとはぐれずに降り、歩き出したところでカナコの携帯が鳴った。


「あ。ココちゃん、ちょっとゴメンね」


カナコは巾着型のバッグからスマホを出すと、耳に当てた。

……どうやら電話みたい。


「もしもし……うん。今バス降りたところ。え、もう着いてるの?」


誰と話してるんだろ……

まるで、あたし以外にも待ち合わせている人がいるみたいな感じに聞こえるけど……


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