コドモ以上、オトナ未満。
「あー、食った食った」
「……てかそろそろ花火の時間じゃない? よく見えるとこに移動しなきゃ」
「だな。せっかく来たんだからちゃんと見たいし」
花火が始まる直前、あたしは大森と一緒に花火の良く見えるスポットを探していた。
でも、そう言うところはすでに場所取りがされていて、あたしたちみたいに後から来る人にみんないい顔をしなかった。
あたしたちは仕方なく他の場所を探し、周りに木が立ち並ぶせいでどうしても空が少し隠れる場所がすいていたので、そこにとどまって空を見上げた。
「もうすぐかなぁ」
あたしが何気なく呟くと、大森がなぜだか声を潜めてこう言った。
「……ココちゃん、ここ移動した方がよさそう」
「なんで? あたしもう歩くの嫌なんだけど……」
苦笑した大森は、「あれ」と親指を後ろに向け、あたしにそっちを見るように促す。
なんなの……?
そっちには何もないでしょ――――あ。
ドキ、と思わず無関係なあたしまで、心臓が跳ねた。
その理由は、後ろでキスを繰り返すカップル。
いくら暗くても、もうちょっと控え目にした方が……と、お節介を言いたくなるくらい、その二人は周りが見えてない。
「つーか、ここってそう言う場所なのかも」
キョロキョロと視線を動かす大森が、あたしにこそっとそう耳打ちした。
よく見れば、いちゃいちゃしてるのは後ろのカップルだけじゃなく……
どうやらこの場所にいる男女は、花火よりもそういうことを目的にしているみたいだった。