コドモ以上、オトナ未満。
ガチャ、と玄関のドアが開く音がして、あたしたちはぱっと体を離した。
「……お父さん、もう帰ってきたのかな」
壁の時計を見ると、まだ夕方の五時にもなってない。
不思議に思いながらもいちおう出迎えようと立ち上がると、真咲も一緒に腰を上げて言う。
「俺、ちゃんと挨拶したいな」
「え、いいよ。真咲はここにいて。友達来てるって言ってくる」
「……トモダチ?」
ちょっとふてくされたように言った真咲。
……そりゃ、ただの友達とは違うけど……
それ、お父さんに話すのは、まだ、時期じゃないっていうか……
「うそ。そんな困らないでよ。でも、友達でいいから挨拶はさせて?」
「……わかった」
たぶん、いい顔はしないだろうけど……
二人で部屋を出て一階に降りると、玄関には思った通りお父さんの革靴があった。
でも、リビングを覗いてみてもそこにお父さんの姿はなく……
「……お父さん?」
廊下に戻ると、ガタンと物音がした。
音のした方を見ると、トイレの扉が半分開いていた。
あたしは真咲と顔を見合わせて、そっと中を覗く。
「お父、さ――――」