アイドルなんて、なりたくない<font color=
プロローグ〜アイドルの異変<emj:159>
朝、起きた時に変化に気付いた。

なんとなくだが、数日前から喉に違和感があった。

成長期なので、いつか来る事は分かっていた。

彼は、この日を待っていた。

内側から喜びが溢れてくる。

「フフフ」

小さく笑った。

母に自分が喜んでいると分かったら恐ろしいからだ。

…長かった

幼い頃は、気にしなかったが、小学校に入ると自分がやっている事に違和感を覚える。

完全にオカシイと思う頃には、取り返しのつかない状態になっていた。

もう戻れない…

それを受け入れてやってきた。

戻れない状態をさらに加速させたのは姉なのだが…

(これで俺は…)

拳が震える。

(《普通》に戻れる)

今すぐ、飛び上がってしまいたい。

それは抑えた。

やはり、母は恐い。

(さて‥)

彼は考える。

(これからどうするか…だな)

彼は考えた。

まずは、両親に言わなくてはならない。

こればかりは事実なのだから、避けようもないから。

しかし…

問題は、その先だ。

彼には仕事がある。

だが、もうその仕事も出来ない。
< 1 / 99 >

この作品をシェア

pagetop