アイドルなんて、なりたくない<font color=
「絵里子も少しは、母親としての自覚が足らないようですね?」

静の微笑みには、絶対零度並の氷が含まれている。

「自分の夢を子供に押しつけるのは親として、やってはならない事だと分かりませんか?」

眼光も口調も厳しくなる。

その場の人間が凍り付く。

静は、フッと笑い

「絵里子も隆介さんも勘違いはなさらないように」

そう言ってから、スッと立ち上がり襖を開ける。

まだ幼い子供達が気持ちよさそうに眠っていた。

静は、穏やかな表情になり

「すべては、可愛い孫達の為」

そう言うと襖を閉める。

「え?それって…」

絵里子が聞くと

「麻衣には空気の澄んだ環境が必要だし、優衣は旦那さまからの直伝の方がよいでしょう。弓道にも興味を示しているようだし。そして怜は、きっかけがどうであれ、今の仕事を続けたいようですし」

静は間を置いてから

「あの子達の為によい選択なのです」

きっぱり言い切った。

優衣にとっては願ってもない話だった。

祖父母から、直伝で学びたいとは思っていたし

何より、あの母と離れられる<font color="#000000"></font>
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