アイドルなんて、なりたくない<font color=
三歳の時に喘息を発症した。

空気のよい所での静養がよいという事だった。

母は、仕事…兄をプロデュースなのだが、その大事な時期だった。

父は、空手バカで、道場の経営で、手が一杯。

一時期、病院に入っていた。

よく、優衣が保育園帰りに父と見舞いに来てくれたのは憶えている。

そして、麻衣を専門の病院に転院させると話が出た時に、祖母から優衣と麻衣を引き取る話が出た。

それで、この町に来た訳だが、最初の頃は、よく寝込んでいた。

だが、優衣は暇があれば、麻衣の部屋に来て、今日あった事や空手の型などの話をしてくれた。

月日が経つと、麻衣の体も良くなってきた。

この町の気候もあるが、町の人達の優しさも、麻衣の体を癒した。

小学校に入る頃には、元気に外を走り回るようになった。

友達も出来て、毎日が楽しい。

でも…

麻衣には、やりたい事があった。

【女優】

昔、母が伝説を多く作り上げた大女優だったから、自分もなりたいと思った。

それに、月一回やってくる兄―怜の話を聞いて、怜のような天才子役になりたかった。

喘息も終息した事だし、両親の元に帰ると思っていた。
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