アイドルなんて、なりたくない<font color=
だが、医者に

『東京に戻れば、再発症する可能性があります。もう少し成長した後なら…』

そう宣告されて、この町に住み続ける事になった。

優衣は、この町での生活を楽しんでいる。

祖父母に教えを請い、日々精進している。

だが、麻衣は《女優になりたい》という夢を持っている。

しかし、この体ではと、両親が東京に来る事を反対している。

だから、麻衣は、この体が恨めしかった。

(体さえ…)

毎日思うのだ。


「まぁ<font color="#000000"></font>い?」

優衣の呼ぶ声が一階からする。

「はぁい。今行く」

答えてから、一階に降りていく。

「なんだ和食か」

麻衣が言うと

「麻衣、和食の何が悪いのだ?」

読んでいる新聞から、チラリと顔を覗かして辰之助が睨みをきかせる。

「だって、洋食だったら、お祖父ちゃんが、お祖母ちゃんを怒らせてるって事だから面白いのに」

そう言ってから自分の席に、ポスンと座る。

麻衣の言葉に優衣が

【ぷぷっ】

思わず笑った。

辰之助は、ムスッとして何か言おうとするが

「あらあら、麻衣。朝からお祖父ちゃんをからかってはいけないでしょう?」
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