アイドルなんて、なりたくない<font color=
そこで、アナウンサーは一度言葉を切り

『現在、レイナさんは安静に休んでおり、しばらくの仕事などはキャンセルになるとの事です』

と、続ける。

「大丈夫かなぁ」

麻衣が心配そうに言うと

「連絡がないって事は大した事ではないでしょ」

静は冷静に答えた。そして

「そろそろだとは思ってましたけどね」

クスリと笑う。

優衣と麻衣は、顔を見合わせて

「どういう事?」

優衣が訊ねる。

静は謎の微笑みを浮かべて

「さあ?」

とぼけた。

優衣と麻衣は、首を傾げる。

「さ、早く食べないと遅刻してしまいますよ」

静は優しく言う。

「はぁい」

優衣と麻衣は答えてから箸を進める。

食事が終わると、二人は食器を片付けてから二階に上がり、制服に着替える。

優衣は中学三年生。麻衣は中学一年生である。

二人とも、この町の公立中に通っている。

着替えが終わると鞄を持って

「行って来ます」

と、元気に家を出た。

二人で仲良く歩いていると、曲がり角に男の子が立っている。

肩を落として、元気がなさそうだ。

「洸太さん、おはようございます」

まず、麻衣が挨拶をする。
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