アイドルなんて、なりたくない<font color=
優衣は、ちらりとだけ洸太を見てから

「だって洸太、ウザイから」

答えて筆箱からシャープペンシルを取り出す。

「さてお仕事お仕事」

シャーペンを指で

【くるくるっ】

と器用に回しながら、カバンの中から資料らしき書類の束を出す。

「おい、優衣」

洸太が、つっかかってくると

「私は放課後の会議の事で手がいっぱいなの」

【スパンッ!】

と、見事な音がなるくらい、キッパリと切り捨てる。

「優衣…」

「あんまりしつこいと、反対にもお見舞いするわよ」
ゆらぁりと優衣の周りに黒いオーラが出ている。

さらに優衣の目が、

【ギロリ】

と妖しく光る。

「はぁい、洸太の負け」

千里が洸太の肩を叩く。

「はぁ?」

納得いかない様子の洸太に

「今ね、生徒会は文化祭の事で忙しいの!」

そして、顔をググッと近付けて

「優衣にとっちゃあ会長としての最後の仕事なの。邪魔でもする気?ああぁん?」

最後にはヤ〇ザのような感じになっている。

「でも、俺、殴られたんだぜ」

洸太が必死で言うと

「はぁ」

ため息をつきながら、優衣が席を立つ。
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