アイドルなんて、なりたくない<font color=
さらに

「それも熱狂的な」

優衣が付け加えると

【ザザッ!】

とかなり引いて

「そうなんだ」

引きつりながら言う。

「じゃあ、中に入ろう」

優衣は、怜を促して中に入ろうとする。

「おい…優…」

洸太が何か言おうとしたが、

「じゃあ洸太、また明日ね」

優衣は、さらりと言って中に入っていく。

取り残された洸太は

「何なんだよ…」

訳か分からないまま立ち尽くしていた。



「いいの?」

母屋に二人並んで歩いていると怜が聞く。

「何が?」

「彼、ほっといても」

「いいのよ」

優衣は、キッパリと言った。そして

「あの事に気付かれたくないし」

小さな声で、呟く。

「へ?」

優衣の呟きが聞こえなかった怜が首を傾げる。

「何でもないわ」

優衣は、そう言って玄関の扉を

【カラララ…】

静かに開く。

「ただ今戻りました」

優衣が言うと

【パタパタパタ】

という足音と共に

「優衣ねえ!大変大変!」

麻衣が慌てたように叫んでくる。

玄関にやって来て

「優衣ねえ、大変だよ!怜にいが…」

優衣の隣に怜がいるので、驚く。
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