アイドルなんて、なりたくない<font color=
優衣は、不機嫌そうに

「会議の真っ最中に、誰かさんからメールが入ったのよ」

と答えてから、怜をギロッと睨む。

「まったく!何が『優衣、どうしよう。家に来てるんだけど、こんなんじゃ入れないよ』」

怒りながら、頬を膨らませる。

「ごめん、ごめん」

怜は顔の前で手を合わせて謝る。

「でもさ、早く会いたかったんだよ」

笑顔で言われると、まんざらでもない気持ちになる。

「もう、しょうがないなあ。後で千里達に謝っておかないと」

優衣が、ため息混じりに言うと

「今度、紹介してよ。生徒会の人達」

怜が、ニコニコ笑いながら言うが

「いいけど。何で?」

怪訝そうに優衣が聞く。

怜は、楽しそうに

「だってさ、同じ学校に通う訳だし。それに優衣が世話になっているしさ」

そう答える。

すると、優衣は驚いた。

「ちょっと怜。転校してくるの?お父さん達が言ったの?」

まくしたてるように聞く。

怜は、ケロリして

「いや、父さん達は、まだ何も」

それに優衣は、言葉を失った。

「だったら…」

「だって、それが約束だったろ?お祖母さんとの」

言い掛けた優衣を遮るように怜は言う。
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