アイドルなんて、なりたくない<font color=
だが、すぐに

「えぇぇ!!」

大きな声を上げながら立ち上がる。

「な、な、何考えているの?私にレイナになれなんて!」

優衣は、思いっきり詰め寄る。

「優衣、今《秋山レイナ》になれるのは優衣しかいないんだ」

「何で?レイナは病気で引退ですって公表すればいい事じゃないの?」

優衣の反論に、絵里子は首を横に振り

「レイナは、超人気スターなの。【引退します】で終わる問題ではないわ。現に事務所には、レイナの状況が知りたいってファンが押し掛けて暴動まで発展して警察まで出動する始末」

困ったようにため息をつく。

「だからって、どうして私に?」

「レイナの姿と声が出来るのは、優衣しかいないの。勝手なのは十分承知しているわ。だから…」

「冗談じゃないわよ!」

優衣は必死に拒絶したが

「…優衣、レイナが何故人気があるのか知っているか?」

怜が重苦しく口を開く。

「え?それは…可愛いから?」

優衣が自信なさげに答えると

「そう、見た目が萌え系で声は可愛い。でも、それだけじゃないんだよ」

「どういう事?」

「《こもも》と《ラピスラズリ》だよ」

そう言って唇を咬む。
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