アイドルなんて、なりたくない<font color=
「やってくれなきゃ、私、ずっと優衣ねえを許さない」

涙を流しながら麻衣が言う。

「麻衣…」

いきなり泣かれて、優衣と怜は、かなり狼狽していた。

「麻衣、泣くなよ」

怜が必死に宥める。

麻衣は泣きながら

「悔しいよ。私だって…お母さんみたいな女優になりたいよ。でも、今は町から出ていけない。でも、優衣ねえは、目の前にチャンスがあるのに…それを蹴るなんて」

必死に訴える。

これには優衣を困ってしまった。

だが、さすがは双子。

怜は、優衣の気持ちを察したかのように

「麻衣、優衣にだって考えがあるんだ。それにやりたくない事だって。だから、無理強いは出来ない」

優しく諭すように言い聞かせる。

「怜にい」

「麻衣の気持ちは、優衣には伝えたんだ。後は優衣の考えで決めないと」

「でも…」

「これは、本来なら俺が解決するべき問題なんだよ。それを優衣に押しつけるのは無責任にも程があるんだ」

怜は、淋しく笑った。

「…でも、レイナはいないといけないんでしょ?」

優衣が、小さな声で聞く。

怜は、少し迷いながら

「まあ、いきなり姿を消したら、騒動は大きくなるかもしれない」
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