アイドルなんて、なりたくない<font color=
「秋山の家の資産を使ったら…」

そう言うと、二人の祖母は高笑いをしてから

「大丈夫ですよ」

紫が余裕の顔で答える。

「でも、私が秋山の家のお金を使ったら…」

それでも優衣は、自信なさげに言う。

紫は、そんな優衣を一蹴してから

「優衣、あなたは『木下』の姓を名乗っていても、秋山家の娘です。それに、これは、大お祖父様が乗り気なのですよ」

にっこりと笑う。

「え?」

優衣が、あっけにとられていると

「大お祖父様は、今は亡き撫子様に瓜二つの優衣の為になら、全財産くらい投げうってでもいいんですもの」

紫は楽しげに笑う。

「いや、撫子大お祖母様に瓜二つなのは、娘の静お祖母ちゃんであって…」

優衣があっけに取られたままいうが

「何言っているの。優衣はその静に瓜二つなのよ。それに静はもう齢を取りすぎているし。そんなばあさんより若い優衣の方がいいに決まっているじゃないの。」

紫の高笑いに

「紫、言ってよい事と悪い事があるでしょうに」

引きつり笑いをしながら、静が言うと

「あら、事実じゃないの。私達は、しわくちゃばばあなのよ」

紫は愉快そうに言う。
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